ダーク・エッジ完結感想

ファンの少なさにもめげず15巻までよく頑張った。敢闘賞を送りたい。いや、電撃コミックで15巻ってすごくね?

最近のありがちな学園モノの特徴に「別に学校が舞台じゃなくてもいいじゃん」というものが多々あります。ラブコメやほのぼの4コマならともかく、なんでわざわざバトルモノを学校でやらなきゃいかんの?みたいな。いや男塾までいかれると逆に感心もするんですが。一番悪いパターンはバトルに偏重しすぎて、舞台である学園の存在がうやむやになってしまうことではないかと。

そもそもバトるにはその理由が必要であり、その理由が舞台である学園から発生している場合がほとんどです。いわく、学園が不良の吹き溜まりである、何故か知らんけど学園自体のイベントとしてトーナメント戦がある、みたいな。なんだそれ。

最初はその設定に従ってバトルを始めるわけですが、強さのインフレが起こる内にバトルの舞台も広がってしまいます。極端な例を示すならば、その舞台は宇宙まで広がります。まぁ、最近はそこまでのものは見ませんけど。舞台が広がるにつれ、バトる動機が転々と変化していき、最終的には「俺より強いやつに会いに行く」のようにバトること自体が目的となってしまうことも。ここで、導入である学園自体は忘れ去られる事になってしまいます。これが糞漫画の典型です。


さて、ダーク・エッジですけれども、基本学園モノです。オマケにファンタジー要素も多々含まれております。糞漫画の典型のようなこの組み合わせ。果ては異世界から宇宙にまで飛び出せるほどの前フリです。ですが、この漫画では終始その舞台を学園内に収めました。まぁ学園自体が異世界だったわけですが。舞台を限定している事で、それぞれのキャラクターの心情や欲望なんかに物語を裂くことができています。戦う事に対する疑問や、結局自分はどうしたいのか、そういった心情が結末に向けて収束していきます。まさに閉じた学園にふさわしい展開といえるでしょう。

舞台が広がらない分、物語が進んでるのか進んでないのか分からなくなるような気持ちになったりもしますが、それも学園という日常が続いていくようで面白いなとか思ったり。…ここまでくると信者か?

まぁ、設定どうのこうのよりはコメディータッチなところが一番のポイントだと。相川有独特の緊張感の無さですね。設定にもそれが組み込まれているわけですが。昼は談笑、夜は殺し合い。殺し合いの中にもボケとツッコミを織り交ぜて。織り交ぜつつもあくまでさりげなく。吹き出し外の台詞がその真骨頂です。


万人受けする漫画ではないでしょうが、その完成度はなかなかのもの。私的ランク”中の上”を差し上げる。…低いとか言うな。最近”下の下”が多すぎて吐き気がしていますの。



いじょ